(1)圧縮強度試験
コンクリート構造物はコンクリートの圧縮強度を基に設計が行われており、躯体コンクリートから
試験体を採取し試験することで、設計で定めた圧縮強度が確保されているか確認を行うことが可能です。
また、圧縮強度は中性化の進行や塩化物の浸透など、劣化のしやすさと関係があり、コンクリー
トの状態を把握する上で圧縮強度を測定することは極めて重要です。通常、試験体の採取では
直径10cm程度の試験体を躯体から切り取ります。

コア採取風景 |
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(2)圧縮強度の推定
反発度法 |
| テストハンマーによりコンクリート表面を打撃し、反発度を測定することで強度を推定します。 |

テストハンマーによる反発度測定風景 |

反発度測定結果画像 |
(3)ひび割れの調査
ひび割れの調査は、目視によりひび割れの形状・幅、発生位置などから劣化原因の推定や、補修工事の資料収集を目的に実施するもので、コンクリート構造物の調査において最も重要であるといえます。また、目視などで調査することのできないひび割れの深さなどは、超音波法などにより測定を行います。
コンクリートに生じるひび割れは多くが乾燥収縮によるもので、一般的な建物の場合、発生からおよそ2〜3年で収まります。しかし、ひび割れの中には、中性化、塩害、不同沈下など、放置しておくと劣化が進み、後に多大な工事費を必要とする場合もあり、原因の推定においては十分な知識と経験を必要とします。

ひび割れ
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ひび割れ幅の測定
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超音波によるひび割れの
深さ測定 |
(4)中性化深さ調査
中性化は、コンクリート中の水酸化カルシウムが大気中の二酸化炭素と反応し、炭酸カルシウ
ムに変化することによって起こります。コンクリートが徐々に中性化して鉄筋位置まで達すると、
鉄筋を保護している被膜が破壊され、鉄筋が腐食しやすくなってしまいます。
このため中性化深さ調査では、コンクリートコアによるサンプル採取やはつりにより中性化深さの測定を行い、中性化の進行状況を調査します。

コアによる中性化測定 |

小径コアによる中性化測定 |

はつりによる中性化測定 |
(5)塩化物量の分析
鉄筋はコンクリートのアルカリ性によって保護されており、中性化が進行しない限り鉄筋は腐食
しにくい環境にあります。
しかし、コンクリート中に多量の塩化物を含んでいると、塩化物イオンの作用により鉄筋の被膜
が破壊され、中性化を待たずして鉄筋に腐食が生じてしまいます。一般的に塩害による鉄筋腐
食は十数年と短い期間で進行する場合が多く、劣化による損傷が著しいため、建替えをしなくては
ならない場合もあります。
コンクリート中に含まれる塩化物は、建てられた時からコンクリートに混入している場合と、海水
などによりコンクリート表面から塩化物が浸透する場合とがあります。
塩害によるコンクリート構造物の調査では、深さ方向の塩化物濃度を分析し、鉄筋の発錆限界
である塩化物濃度が、コンクリート部材のどの位置にあるのか、また塩化物による鉄筋腐食が
どの程度進行しているかを把握し、補修設計の資料を収集することが重要です。

塩害による鉄筋腐食 |
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塩化物量の分析 |
(6)鉄筋腐食の調査
中性化や塩化物により鉄筋が腐食した場合には、腐食膨張によるかぶりコンクリートのひび割
れ、剥離、剥落が生じます。
このため鉄筋腐食の診断では、中性化の進行状況や、塩化物の浸透・含有量を調査し、腐食
状況を把握した上で、今後どの様に劣化が進行するのか予測を行い、必要な対策を講じること
が重要です。

はつり面 |
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鉄筋の腐食状況(はつり面拡大写真) |
(7)アルカリ骨材反応の調査
アルカリ骨材反応は、骨材中のある種の反応性成分がセメント中に含まれているアルカリ分と
反応し、生成物がコンクリート中の水分で吸水膨張することで、コンクリートにひび割れを発生
させるものです。 コンクリートは全体積の約70%が骨材(砂利や砂)であり、アルカリ骨材によ
る膨張は構造耐力の低下を招く危険性もある劣化現象であるといえます。
アルカリ骨材反応の調査では、構造物の目視調査を行い、ひび割れ、生成物の発生状況、水
分供給の有無などを把握します。また、構造物よりコンクリートコアを採取し、生成物の観察や、
使用されている骨材の反応性を試験により確認します。
コンクリート中に塩化物が含有している場合には、膨張が促進されるため塩化物量の分析も行
い、圧縮強度や静弾性係数の測定も実施します。反応性を有する骨材と判断された場合には
補修設計の資料として、今後どの程度膨張が発生するのかを残存膨張試験で確認します。

天井面のひび割れ |
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柱側面のひび割れ |
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